「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その7
第4章 貝類のページ
※ 貝については結構良く書かれていて、著者は盛んに有用だと申しております。
- 第1節 貝の効用
魚の食べ残りの餌とか、容器面に附着した珪藻植物等を嘗め廻り何時も水の新鮮さを保つ為少なからず役立つ。又貝は魚より水質の悪変に対する感じが非常に鋭い結果、住むに不適と解れば水から抜けだしタンク面で休止するから報知具だとも言える。
※ 水質変化予見道具については、良く聞く話です。
- 第2節 水槽と貝
掃除をするからと言って沢山入れる必要はない。殊にコーラル・スネイルなどは最初美しくても、黄、橙色に変色し鮮やかさを失うに至る。これ故に予め他の適当な容器に入れ、純粋種の養成を常に行う必要がある。
- 第3節 巻貝の養成法
コーラル・スネイルについてい述べれば、容器は空樽が一番のように思う。樽底に10cm土を入れ、水を入れて暖かい場所に置く。貝の飼料としては一般にキャベツの葉或いは青菜の煮汁とか、煎った米糠を時々加えると好結果である。又シジミの砕いたものが好餌とされている。
戸外では泥中で冬眠する関係上、春から秋まで繁殖を見る。又石灰質物を多量に要求する所から、石灰石とか貝殻末を瓶に入れることも養成上心得べき急所である。
※ 卵目愛好家はレッドラムズホーンを残餌の掃除用として使っていますが、どうしても殻がだめになるので、別水槽に大粒の珊瑚砂を入れ殖やす(維持)と聞いたことがあります。昔も同じ事をしていたんですね。
- 第4節 有用な貝の種類其他
オーストラリアン・レッド・スネール Australian Red Snails マメタニシ科
Bulines australianus (Isadora proleus)
体躯は小さい(イラストに20mmと書かれている)。コーラル・スネイルより活発に活動するが、東京の愛好家の間で僅かに飼育されているに過ぎない。
ブラック・ラムショーン・スネール Black Ramshorn Snails ヒラマキガイ科
Planobis corneus L.
2cm以下の巻貝である。タンク内の忠実なる掃除夫(スカベンジャース)であるために常用せられている。稚魚を時々襲う場合も少なくないから、成魚或いは若魚の水槽内で飼われるのが安全である。コーラル・スネイルの半値。デンマークの原産。
コーラル・スネイル Coral Snail. ヒラマキガイ科
Planordis rubrum ←ブラックの学名と綴りが違う。誤植かもしれない。
レッド・ラムショーン或いはコペンハーゲン・スネールとも呼ばれるもので、全体美しい珊瑚色を帯び、水槽用として名実ともに理想的な貝である。
卵は硝子面に産まず、水草の葉裏とか茎に産むのが常例で、強光下で育てると色彩を増す。
好んで野菜を舐食するから、新鮮な青葉を与えるのが肝要である。若貝は小魚も好んで食うから注意する。
市価は大一個30銭。北欧原産。
まるたにし(丸田螺) Japanese Snails. タニシ科
Vivaparus malleatus (Reeve)
この他にオホタニシ、カクタニシ、タガタニシ、ヒメタニシがいる。米国では掃除夫として優遇を受けているが、活動が少ないので観賞価値に乏しい。晩春から夏期にわたり卵胎生で増える点が面白い。
ものあらがい(物洗貝) モノアラガイ科
Lymnaea japonica (Jay)
巻いた部分が少なく、老成した物で高さ2cm、幅1cm内外の右螺旋貝である。身が柔らかいところから刻めば魚類の好餌である。
おたまじゃくし Tadpole アマガヘル科
Rana nigromaculata (Hallowell)
巻貝類と同じ効用からで、或いはそれ以上に有用なもである。2cmぐらいのものがよく、脚のあらわれたものは避けた方がよい。
有用だとはいえ、役務が終わったら出さないと魚へ与えた餌を失敬する。米国辺りでは特にアクアリウム用として販売している。
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