「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その6
第3章 管理のページ
- 第1節 春の管理(4~5月)
秋の加温は多少遅れても影響がないが、春の加温停止は慎重に考慮を払う必要がある。また、この時期は金魚屋に良いミヂンコが売られているので、これを幼魚に与え魚体の発達を計る。
- 第2節 夏の管理(6~8月)
百貨店その他において種類物が漸く出そろう時期である。
直射日光を避けるため2枚の葭簀を通す程度の光線が適当だ。
遠来の熱帯魚は生存や繁殖にも好都合な季節で、5~9月まで繰り返される。
- 第3節 秋の管理(9~11月)
戸外の水槽にある熱帯魚は遅くとも9月下旬までに移す。水の青く濁れることは魚は一向に平気だが、初心者は清水中に移し死に至らしめる。
10月中、下旬から加温装置を施す必要があるから、用意万端済ませることが肝要である。
- 第4節 冬の管理(12~3月)
タンクが多数の場合は練炭ストーブが良い。特に石炭用としては完全燃焼、炭種不選、取扱簡易の日の丸ストーブが好適だと思う。
湯浅練炭7寸もの2個(17銭内外)、石炭においては10瓩を2回投ずれば晩9時から翌日正午近くまで5坪位の部屋を20度に保持できる。
比較的低温度に耐えられる種類を挙げれば
トップ・ミノー
フォークドテール・パラダイス・フィッシュ
ブラック・モーリー
モリエニシア・フォーモサ
ムーン・フィッシュ
ソード・テール
ベタ
リミア・アーノルディ
クライミング・パーチ
- 第5節 仔魚の採り方
ブリーディング・トラップと言う粗めの網を沈め、これに予め親魚を飼う。稚魚は親に追われ網目を抜け出し、沈生卵は底孔から安全な場所に落ち着く。
トウユウ科(グラミ類、パラダイス・フィッシュの類)はアクアリウム内を硝子板で仕切って雌雄を別々に置き、兆候を認めてから硝子板を抜き同居せしめる。受精後、雌を別居せしめる。
- 第6節 仔魚の飼い方
稚魚の間は大抵菜食であるから普通のやり方としては、少量の野菜の茹で汁とか、青水をスポイトで与え、数日後インフゾーリア、次にミヂンコ、成長に従って小さなイトミミズを給するといい。茹卵の黄味は有機質物であるから、細心の注意を払う必要がある。
稚魚時代は時間など定めずに飽食せしめるぐらいする方が発育が早い。
- 第7節 雌雄の見分け方
雌雄区別の面倒な3種について、その要点を挙げれば
エンゼル・フィッシュ
1,頭の上の黒い縦縞が直上している。雌は斜め。
2,腹鰭の基部が鋭角をなす。雌は鈍角である。
3,腹鰭が長く美しい。雌は短く黒ずんでいる。
4,尾鰭の上部が殊に発達している。雌は略三角形をなす。
5,腹部の縦縞が濃い。雌は稍淡い。
6,腹幅が狭い。雌は広い。
7,目が大きい。雌は比較的小さい。→ほんとかな。
ラスボラ・ヘテロモルファ
1,胴部にある三角形の斑紋の下線がボカされている。雌はクッキリしてある。
2,背鰭に5本の黒い筋をもつ。雌はなし。
ゼブラ・フィッシュ
1,尾鰭の縞目が正しく直線。雌は上下弧状に湾曲している。
2,体躯が細長い。雌は稍丸味を帯びる。
この説明は今でも結構役に立ちそうです。
- 第8節 給餌の分量と時期
過食の害を未然に防止する方策として、日を定め週に1日欠食させる遣り方を採っている人もいる。時期は毎日日課とし、時間も定めておく。衣服も一定に置くことも有効な方法である。
-----メモ-----
葭=あし・よし・カ、瓩=キログラム
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