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2008年5月

2008年5月31日 (土)

「熱帯魚の飼い方」 藤岡 昇、藤本義昭 六月社 昭和33年

 「熱帯魚の飼い方」 副題「初心からの熟達者への百科」 藤岡 昇、藤本義昭 六月社 昭和33年7月31日発行 211ページ 280円

 この本は「六月社の入門と必携と便利帖を兼ねた 六月社の便利帖全集」の一冊として出版された本でシリーズNoは4です。

 著者の藤岡昇氏は関西の方のようですが良くわかりませ。この本ではたぶん熱帯魚のセクションを書いたと思います。また藤本義昭氏はイネ科植物に詳しいようで、この本では水草のセクションを執筆したようです。なお古書としては殆ど見かけません。

構成

口絵
はじめに
目次
熱帯魚編
第1章 飼育の部
第2章 繁殖の部
第3章 熱帯魚の図説の部
熱帯魚呼称総索引
水草編
第1章 水草の効用
第2章 水草栽培の心得
第3章 屋外プール用水草
第4章 アクアリューム用水草
第5章 水草各論
付 魚・水草・器具の値段表

カバー
 カバーはピンク色より少し濃い色で、書名、著者名、副題、シリーズ名が書いてある。裏側はベタの雌雄が絡み合った小さな白黒写真かイラストが載っている。

表紙
 表紙は白で、面白いのは表紙裏に飼育器具のイラスト、裏表紙の裏には「学校水族館」と称しイラストで集中濾過式の水槽とその設備が書かれています。


便利帖全集、書名、著者名、六月社刊

口絵
 「熱帯魚が多い魚の切手」と題し12枚の切手がカラーで載っていますが、日本のものは「金魚 5円」だけで他は外国切手でしかも海水魚、貝です。また、裏側には「魚の部分名称」と題し魚が解剖された状態のイラストが載っている。

はじめに
 著者は次にように言っています。
 「飼育は、生物の生命を人間の手で持続し発展させる技術が必要です。生物個々の生態・形態を理解した知識であり、毎日毎日の愛情のこもった世話です。」

 そして、熱帯魚の変わった特色として

  • 形態に変化がある
  • 体色が美しい
  • 繁殖が容易である
  • 飼育が楽である
     「著者の研究室では日本産淡水魚飼育の研究も進めていますが、モロコ、タナゴ、ハヤなどよりも熱帯魚の方が飼育が容易。」と言っています。ここでこの著者がどのような方なのか少し伺い知れます。

---メモ---
西暦1958年=昭和33年

2008年5月30日 (金)

「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作 その3

本文の続き
30,らすぼら・へてろもるふあ Rasbora heteromorpha 其一
 ラスボラ・ヘテロモルファ
31,らすぼら・へてろもるふあ Rasbora heteromorpha 其二

32,とみよ) Pygosteus sinensis 其一 トミヨ
33,とみよ) Pygosteus sinensis 其二
34,とみよ) Pygosteus sinensis の巣

35,あゆ plecoglossus altivelis
36,ちちぶ Tridentiger obscurus チチブ
37,よしのぼり Rhinogobius similis ヨシノボリ

38,朝鮮ぶな Macropus chinensis
39,極楽魚 Macropus opercluaris

40,闘魚 Betta pugnax 其一 ベタ
 解説では Betta cambodia だと言っている。明らかにプグナックスではない。
41,闘魚 Betta pugnax 其二

43,鳴ぐらみー Ctenopus vittatus クローキング・グラミー

44,ぐぴーの雌 Lebistes reticulatus 其一 グッピー
45,ぐぴーの雄 Lebistes reticulatus 其二
 写真の魚は原種そのもので、尾鰭も小さい。大きなスポットが鰓の後ろと体の中央にある。
46,ぐぴーの雌雄 Lebistes reticulatus 其三

47,もりー Mollienisia latipinna 其一 セルフィン・モーリー
48,もりー Mollienisia latipinna 其二
49,みつぼしぐらみー Trichogaster trichopterus
 スリー・スポット・グラミー

50,そーど・ている Xiphophorus helleri 其一 ソード・テール
51,そーど・ている Xiphophorus helleri 其二
52,そーど・ている Xiphophorus helleri 其三
53,れっど・へれりの雌雄
 ソード・テールとムーン・フィッシュの交雑魚で赤色を呈するがソード・テールほど剣がながくならない。

54,むーん・ふぃっしゅ Platypoecilus maculatus 其一
 ムーンフィッシュ、プラティの事。
55,むーん・ふぃっしゅ Platypoecilus maculatus 其二
56,むーん・ふぃっしゅ Platypoecilus maculatus 其三
57,むーん・ふぃっしゅ Platypoecilus maculatus 其四

58,かまつか Pseudogobio esocinus カマツカ
59,ぱんちやっくす Panchax panchax パンチャックス
60,ぷらのるびす Planorbis corneus コーラル・スネイル

2008年5月29日 (木)

「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作 その2

 昭和9年なので当たり前ですが、写真はすべて白黒です。又、前本と同じく熱帯魚が載っている黎明期の本なので、五月蠅いぐらい紹介しますのでご容赦を。

表紙
 スイレンの葉の上に戯れるタナゴ2匹とメダカ2匹


 書名、著者名、エンゼルフィッシュの写真、出版社名

 エンゼルフィッシュの写真は45*30mmですがきれいに撮れてます。

内容 ※通常で言うところの目次
 写真のタイトルページと解説 ページが併記されていて工夫がうかがえる。
 日本産淡水魚19種、金魚2種、鯉1種、エビ1種、貝1種、熱帯魚11種が載っている。

次に
 序文とかはじめにとは書いていませんし、年月日も書いている人の名もありません。たぶん「科学写真叢書出版にあたって」だと思います。以下全文を書いておきます。

 「自然の事物に対して博く且正確な知識を有することは吾人文化生活者の最大資格の一つであり、又都市居住者が漸く山野の実際と絶縁しようとしている今日、文明の諸機関と共に、その原素である生ける自然を知悉することは一種の義務であると信ずる。

 本叢書刊行の趣意も亦ここにあるので、趣味・実盆兼備の一大絵巻物であり、特に我国の自然のあらゆる部門に亙る総合的写真辞典である。

 言うまでもなく動植物いづれにせよ一々原地に於いて偽らざる生態を撮影することは絶大の困難と膨大な経費とを要するものであるが本社は此の良心的難事業を成就せんがために敢えて生態科学写真協会の諸家に依頼し、努めて生態写真のみを嵬集統一する事に苦心努力した。

 加うるに各部門に亙って専門諸大家の解説を乞い、両々相俟って外国にも誇り得る自然科学の記念塔を築かんとするものであって、もとより一大犠牲出版である事は論を俟たない。

 好箇の山野の伴侶として、趣味の共として、自然の教師として、何人も本叢書を身辺に具えられんことを切望する。」

 この当時って結構自信満々で書くんですね。

本文(ほんもん) ※ここから出版社が言うところの生態写真です。
 各写真の下には魚名(ひらがな)、英名(特に熱帯魚)、学名、英語の属名と撮影者として全てに(K.Kato,Photo)が入っています。

 ここでは学名だけ書いておきます。また、旧仮名はかっこ書きでカタカナ等にしわかりやすくアレンジしました。

 解説ページから面白い項目を抜粋してみました。

1,沼の産物 ※学名省略しました
 ふな、たなご、おいかわ、どんこ、ぬまえび、すじえび
 ※竹ザルの上に収穫された淡水魚が一杯入っている写真。

2,すじえび Leander paucidens
3,ふな Cyprinus carassiusの雄
4,たなご Rhodeus tabira
5,ふな と たなご
6,睡蓮の葉に戯れるたなご ※表紙の写真に同じ

7,ひめだか Oryzias latipes 其一

  •  黄色よりもよほど赤色に近きもの、亦、青色がかったもの、斑のもの、白色のもの等も往々にある。※最近流行の各種改良品種がすでに昭和初期から飼われていたことの証です。

8,ひめだか 其二
9,ひめだか 其三
10,睡蓮に群がる たなご と ひめだか

11,色鯉 Cyprinus carpioの群
 変鯉とも言う。
12,でめきん Cyprinus carassius var
 支那金とも称す
13,しゅぶんきん Cyprinus carassius var

14,うぐひ(ウグイ) Leuciscus hakuensis
 ヒ(ひ)は蓋し魚を現す大和言葉である。
15,おひかわ(オイカワ) Zacco platypus 雌 其一
16,おひかわ(オイカワ) 雄 其二 

17,ぜぶら Danio rerio 其一 ※ゼブラ・ダニオ 熱帯魚の登場です。
18,ぜぶら Danio rerio 其二

19,かむるちー Ophiocephalus argus
20,かむるちーの仔魚群 ※ヒシの葉周辺に群がっている写真です。
21,うなぎ Anguilla japonica

22,なまず Parasillurus asotus其一
23,なまず Parasillurus asotus其二 ※前からの写真
24,なまず Parasillurus asotus其三 ※顔部のアップ

25,ぎばち Pseudobagrus aurantiacus

  •  生時は暗黒色乃至青色を呈するが、死に瀕するか,又は死の直後には黄色又は黄金色に変化する。

26,ほとけどぜう(ホトケドジョウ) Lefua echigonia
27,しまどぜう(シマドジョウ) Cobitis taenia ※美しい種名ですね。

28,すかられ(エンゼルフィッシュ) Pterophyllum scalare 其一
29,すかられ(エンゼルフィッシュ) Pterophyllum scalare 其二
 スカラレの場合には細長く垂直に繁茂するヘラモの如きもの好い。
30,なんづす(ナンダス) Nandus nandus ※最近全然見ないです。

-----メモ-----
博く=ひろ・く 知悉=ちしつ 亙=わた・る 俟=シ、ま・つ 蓋し=けだ・し 

2008年5月28日 (水)

「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作,加藤邦三 アルス 昭和9年

 「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作,加藤邦三 アルス 昭和9年3月13日発行 80ページ 定価50銭 菊半截判(113*150) アルス科学写真叢書(※シリーズ名)

 この本は前回紹介した「原色図解 熱帯魚の飼育と鑑賞」(吉津良恭 著)と同じ出版社であるアルスより、同じ年に出版された本です。

 内容がスゴイのでこのシリーズの広告を上記本の末尾から紹介します。
 「ここに科学と技術が渾然と融合する。最も精鋭なる写真技術の精力的参加によって茲に始めて日本自然界の生態学的把握が我々のものとなった。

 固より生物生態の撮影は至難中の至難である。だが今や俗悪ジャズ文化の暗流に自然が漸く我々より絶縁しようとし、又我が自然科学特に生物学が死せる標本の上に漸く行詰まろうとしている時、「自然の再認識」を近代日本人の最大債務なりと信ずる本社が、あらゆる努力あらゆる犠牲を投げ出してここに「アルス科学写真叢書」を計画し特に生態科学協会の諸氏に依嘱して日本生物界の生態写真化に着手した。

 而して今その第一矢は放たれた。見よ!生態写真の精華!而して自然国日本の総合的写真辞典!ここに展観される世界は、動物に、植物に宏近にして微妙なる大自然相の生気躍動する赤裸の姿だ。

 敢えて全写真家諸氏にすすむ。山野の伴侶として、趣味の友として、自然の教師として、更に生態写真の教科書として、本叢書を常に身近に備えられんことを切望します。」

高級アートペーパー使用とまで書いています。

さらに「熱帯魚と淡水魚」の広告として
 「近来流行界の花形である艶美なる熱帯魚と清冽に踊る淡水魚。至難とさるる水中生態写真と斯界の権威雨宮博士の解説よりなる得難き参考書」

閑話休題
 著者の雨宮育作氏は魚類学で有名な東京帝大教授で農学博士ですが、共著の加藤邦三氏は写真家です。写真の右下に(K.Kato Photo)と書いてるのでわかっただけです。

 アルスは同年に何故2冊の熱帯魚本を出版したのでしょうか。この年、鷹司信敬氏も別の出版社から熱帯魚飼育本を出しているのをみると、熱帯魚ブームだったのかもしれません。しかしブームと言えどそれは一般庶民とはかけ離れた所にあったことでしょう。

構成

内容 ※目次のことです。
序文 ※敢えて序文とは書いてありません
口絵 生態及び水中写真 ※これが本文(ほんもん)と言っても良いでしょう。
本文 写真の解説
奥付

-----メモ-----
截=セツ、た・つ、き・る 斯=シ、こ・の、か・く 叢書=そうしょ 茲に=ここに 而して=しか・して
西暦1934年=昭和9年

関連書

2008年5月27日 (火)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その15

第9章 熱帯魚の輸送法

  • 昭和8年8月京都府立植物園主催の熱帯魚鑑賞会の写真が載せてある。
     容器は亜鉛板製とか、包装を完全に施した硝子瓶が主として用いられているが、広口で比較的胴の高いものが適当で、これは動揺に対して割合に振動の影響が少なく都合が良い

     自身で運搬をするときは容器は同じで、蓋の代わりとして亀甲紗とか蚊帳の古布で覆う方が好結果である。又動揺を防ぐため吊り下げる方が安全である。

鑑賞編
第10章 アクアリウムの装飾と観賞

  • 相当数を持つアクアリウムにあっては管理上必ずや温室式になっているのであるから、温室用観葉植物を集めタンクの周辺に配置する。 アクアリウム用のためには高級な植物を選ぶことが必要で、飼育されている魚類の品位に及ぼす。

第11章 アクアリウムに相応しい温室植物

  • ペペロミア、カラテア・インシグニス、ベコニア・レックス、ペリオニア・ダヴェアウアナ、ホウエア・ベルモレアーナ、ココス・ウエッデリアーナ、ドラセナ・ワーネッキー、サンセヴィリア・ローレンティー、フィットニア、アフェランドラ・ブランクティアーナ

     ネフロレピス・ピアソニー、プラセリューム・グランデ、フェレボデューム・マイ、プテリス・ビクトリア、アジアンタム・カピラス・ベネリス、アローカシア・サンデリアーナ、アグラオネマ・マランティフォーリア、ポトス・アーレア、モンステア・デリシオーサ、デーフェンバッキア・セグイネ・ノビリス、

最後に著者は茶人利休の詠める一首「その道に入らんと思う心こそ、我が身ながらの師匠なりけり」と言う一句を茲に揚げて筆を置く次第である。

附録 熱帯魚一覧表

  • 79種の和名、学名、英名、科名、大きさ、繁殖形態、適温、原産地が記載されている。

2008年5月26日 (月)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その14

第8章 魚類の寄生虫と害敵のページ

  • 第1節 個々の害敵と防除法
     リーチェズ Leeches ※ヒル
     蛭は大きな水槽等では1匹あて捕殺するのは大変であるから、塩水で洗うか或いは氷を入れて一時冷水とする。
     ヒルが著しく発生して魚を害することの最も甚だしい時期は6月と8月だと言われている。

    フィッシュ・ライス Fish Licc
     てふ(魚虱、※魚ジラミ)と Argulus jhoponibus と称し、一種の甲殻類に属す。
     テレビン油と石油の同量の混合液
    を虫に塗りつけると直ちに落下する。治療後は十分清水で流す。

    スレッド・パラサイト Thread Parasite
     ラーニン(Lernean)と称せられる多くの種類を有する寄生虫で、イカリムシという和名で通っている。
     治療には適切な方法はないが、被害魚を発見次第犠牲に供するか、或いは清水5リットルに塩素石灰の茶匙1杯量を落とした薬液で消毒するのが良策である。この溶液は全ての生物を殺すものだけに、消毒後は十分薬液を洗い落とす。

    イクシオフシリアス Ichthyophthirius
     我が国では白点病と呼ばれているが、西洋ではペッパー・アンド・サルト・ファンガス(Pepper and Salt Fungus)と言う。
     水銀クロームの2%溶液の4滴を清水4リットルに注加するのが最も効果的である。この濃度は水草にも無害であるから、タンクに直接注加しても問題ない。また、この溶液による水浴の場合は2~3回でいいが、水温を25度以上にする。
     石油もこの寄生虫には有効なもので、軟らかいフランネル等に石油を浸し、患部を拭く方法である。その後は清水で油気を十分洗い流す。また、石油の代用として、水4にアルコール1の溶液に数回浸すことも卓効を認められる。

    フリュークス Flukes
     ギロダクティラス・エレガンス(Gyrodactylus elegans)と言う吸虫の寄生による。我が国では鰓病又はギロダクティラス病とも呼ばれる。
     清水1リットルに対し蟻酸アルデヒード4~5滴を加えた溶液中に魚を放ち、以後1分間に1滴を加えつつ10滴にいたって止める。魚の苦悩を訴えない限り10分位治療してから移す。これを2~3回繰り返す。
     概して寄生虫による場合は、氷酢酸の微量(水の490割に対して氷酢酸の1割)の溶液に20秒間浸して有効なるものとされている。

    害敵の主なる物
     ミズカマキリ、タガメ、コオイムシ、ゲンゴロウ、ガムシ

2008年5月25日 (日)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その13

第7章 魚類病害のページ

  • 第1節 塩水療法
     塩茶匙1杯に清水5リットル(茶匙1杯は30g)または海水5に清水1の割合。塩は食塩ではなく岩塩を用いる。この濃度の塩水に1回に2~3分浸すことを根気よく連浴させる。
     もしかかる取扱に対しても病魚の状態が捗々しくなければ、塩茶匙5杯に清水5リットル以上の濃度とし2~3日間之に浴せしめ、茶匙1杯に戻す。
  • 第2節 アンモニア療法
     この方は欧州にて白点病の治療薬として評判である。清水5に薬用アンモニア水を10~12滴溶かし、5分間浸した後清水に戻す。
  • 第3節 赤インキ療法
     赤インキを浅い容器に入れ適宜水を希釈する。この加減は少し赤みを認める程度の溶液でいい。手軽なので初心者の治療法として一般的である。
  • 第4節 病害に対する一般的注意
    個々の疾病と治療法 ※ 以下はどうも洋書からの受け売りのようです。

    フィン・コンゲッション Fin Congestion ※鰭腐れ病
     犯された部分を石油に浸すことで、頭部は軽く湿気のある布に包んで治療する。(※すごい荒療治で今では知っている人もいないでしょう。)
     又、清水5リットルに過満俺酸塩(※過マンガン酸塩)を2粒の水溶液に浴せしめる手当てもある。

    ホワイト・ファンガス White Fungus ※綿かぶり病
     羅病魚を板の上に載せて、鋭い洋刀で被害部を切り落とす方で、決して鋏で剪ってはいけない。(※これも相当すごい治療です。)同時に切り口を過マンガン酸塩水(コップ1杯量に1粒)を患部に塗布し消毒する。
     或いは湿った脱脂綿で頭部を包み、被害部を3~4分間乾かすことも一部の愛好家間で試みられている。

    便秘 コンスティペーション Constipation
     水5リットルに塩15gと砂利塩15gを混入した溶液に水浴せしめる。

    イッチ Itch ※白点病のことか?
     羅病魚はタンクの固定物に体を擦りつける様子を知ればその兆候と認めて差し支えない。塩水療法を再三繰り返すことで退治できる。

    浮嚢病 Swimming Bladder Trouble
     体の平衡を害される結果仰向けになるとか、横倒しの姿勢を取ることによって見分けられる。水温の低下が主な原因として挙げられる。
     患魚は淡い且つ温かい塩水中に入れるが、快復の兆候を認めれば適温のタンクに入れる。

    テール・ロット Tail-rot 尾腐れ病
     治療はホワイト・ファンガスと同一で差し支えない。軽度では過酸化水素水の10%液に浴せしめるか、重症には同じく50%液に患部を浸すが、泡で包まれる。2~3回の施術で治癒する。

    ドロップシー Dropsy 立鱗病、鱗立病、松かさ病
     ジギタリス液の2~3滴をタンクに投入する手当が有効のごとく信じられているが、適療法とは言い難い。

    コンスンプション Consumption
     水5リットルに塩15gの溶液中で飼うのが比較的有効とされている。尚ウイスキーの5倍希釈液を1日2回、4~5日間服用せしめることは卓効ある治療法と見なされている。

    アイ・インフラメーション Eye Inflammation ※ポップアイ
     硼酸飽和溶液で患部を洗浄、或いは硼酸の代わりにグリセリン90%に沃度丁幾(※ヨードチンキ)10%の割合の調剤薬で点眼するのであるが、この際は1回の試用で足りる。

    ギル・コンゲッション Gill Congestion
     鰓に起こる障害で、幼魚と成魚で症状が異なる。羅病後殆ど絶望伝染性強く、治療至難な病気となっている。成魚の場合は水5リットルに塩30gの溶液に浸す。この濃度では魚は多少苦痛を訴えるから掬いだし、流れ水に当てる。数日之を反復する。

2008年5月24日 (土)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その12

  • 第3節 コヒ科  ※コイ科
     ラスボラ・ヘテロモルファ Rasbora heteromorpha
    目下愛魚家間に於いてこの魚の繁殖した例はない。東京方面に市販されている。

    ラスボラ・ナイルヘリエンシス Rasbora neilgheriensis
     印度産。ヘテロモルファより稍細長く全体赤褐色で、目から尾の着根まで黒い線がある。

    ロージー・バルブ Barbus conchonius
     我が国でも1,2の繁殖を見ている。

    ストリップド・バルブ Barbus senifasciolatus
     ※ グリーン・バルブの事。

    バルブス・ティクト Barbus ticto
     昨今各所繁殖してる印度地方原産の魚。

    ゼブラ・フィッシュ Brachydanio rerio
     ※ ゼブラ・ダニオ。

    ブラキダニオ・アナリプンクタトゥス Brachydanio analipunctatus
     ビルマ原産でゼブラ・フィッシュに酷似している。即ち地色は灰白色、側線に沿って黒く且つ黄色縞があり、腹部一面に小さな黒点がある。

    ジャイアント・ダニオ Danio malabaricus
     昨年あたりから各所に見受けられる普通種となった。

    パール・ダニオ Brachydanio albolineatus
     本邦に未だ輸入を見ない。
  • 第4節 トゥユュ科
    闘魚科と書かれることもある。

    ドワーフ・グラミ Colisa lalia

    スリー・スポット・グラミ Trichogaster trichopterus
     この属中にはジャイアント・グラミがあるが、愛玩用としてどうかと思われる。
     クローキング・グラミもあるが、奇声を発するだけで観賞的価値は少ない。

    ベタ・カンボディア Betta splendens
     ベタ・スプレンデンスの変種で1927年に初めて紹介された。

    ベタ・ルブラ Betta rubra
     褐色に黒い縞が側線に平行に二本あり、尾には赤い筋があって空色の斑を現し美しくなる。

    ベタ・スプレンデンス Betta splendens

    パラダイス・フィッシュ Macropodus opercularis
  • 第5節 チャラシン科 ※ カラシン科

    プリステラ・リッドレィ Pristella riddlei
     本邦には輸入されていない。

    フレーム・フィッシュ Hyphessobrycon flammeus
     南米リオ・デ・ジャネロから渡来した魚であるから、テトラ・フォン・リオの呼び名がある。

    シルバー・テトラ Ctenobrycon spilurus
  • 第6節 アテリナ科

    オーストラリアン・レインボゥ・フィッシュ Melanotaenia nigraus
     本種も我が国に未だ飼育者はいないが、目下豪州から米国に移入され極めた賞賛を受け、永久性の観賞価値あるものとして折り紙付きの種類である。

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その11

  • 第1節 メダカ科 続き
    ハブロチラス・ルブロスティグム Panchax lineatus
     ※ パンチャックス・リニアタスの事で当時種名の変更があったらしい。
     現在我が国に渡来しているのはパンチャックス・チャペリー(P.chaperi)、パンチャックス・パンチャックス(P.panchax)の2種である

    リボン・パンチャックス Aphyosemion australe
     ※ アフィオセミオン・オーストラレの事。

    ベロネソックス Belonesox belizanus

    ゴールデン・ファンデゥラス Fundulus chysotus
     この熱帯魚は米国の自然種であるが、欧州から輸入されている。更に極彩色の強いブルー・ファンデゥラスとともにいづれも本邦に紹介されていない

    アフリカン・キリフィッシュ Fundulopanchax coeculeus
     ※ ブルー・グラリスの事。
     ファンデゥラス・ギュラリス(Fundulus gularis)又はブルー・ギュラリスとして知られている。これも目下未だ輸入を見ない

    アメリカン・フラッグ・フィッシュ Jordanella floridae
  • 第2節 キクラ科
    ティラピア・マクロセファラ Tilapia macrocephala
     雄が卵をくわえ保護する。未だ輸入に至らない

    マウス・ブリーダー Haplochromis multicolor
     雌が卵をくわえる。相当繁殖しデパートでも売り出されている。

    ジュウェル・フィッシュ Hemichromis bimaculatus
     本種は目下東京の一部愛育者に飼育せられているに過ぎない。

    エンゼル・フィッシュ Ptrophyllim scalare
     松平候によって昭和7年の春に200余尾孵化の大成功を見た。

    ブルー・アカラ Aequidens latifrons
     愛隣家にはアカラ・セルレウム・プンクタータ(Acara coeruleum punctata)として通っている種類で、本邦では未だ余り飼育を見ない希品に属す。我が国で普及しているアカラは縦アカラ(Aequidens portalegrensis)と称されている種類である。

    ヘロス・スプリアス Cichlasoma severum
     ※ セベラムの事。我が国には未だ輸入されていない

    ヂョファガス・ブラヂリエンシス Geophagus braziliensis
     ※ ゲオファーガス(ジェオファーガス)・ブラジリエンシスの事。未だ輸入を見ない

    オレンヂ・クロマイド Etroplus maculatus
     この魚も本邦にまだその飼養を見ない。学名のマキュレタス(※マクラータス、マクラタス)は斑点を意味する。飼養の注意点としては夏の強烈な光線と暑さを避けることが大切である。

2008年5月22日 (木)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その10

第6章 熱帯魚のページ
 ※ この章で各魚種の解説を行っています。本の名称は「原色図解」となっていますが、写真はなく、相当できの良いイラストが1ページに1種載せてあります。特に色使いは見事で、通常良くある毒々しさが有りません。本物の魚体が忠実に再現されていると思います。

 淡水産の愛玩魚は全世界を通じて100種位に止まる。しかし我が国では目下漸く其の半数に達せんとする極めて初歩時代を辿っている現状にある。
昭和9年の時点の状況です。

 この熱帯魚は是非仔を引かねば興味の半数を殺がれる所以と、増殖無しには趣味の向上を期すことが出来ない。

  • 第1節 メダカ科 11種が紹介されている。
     胎生の魚が多くいるが、正しい意味での胎生でないので、ビビパラス(Viviparous)又はリーブ・ブリーデング・バラエティー(Live Breeding Variety)と呼ばれている。
    器具のイラストとしてインネスから引用し
     グラス・バー・ブリーデング・ケージ(Glass-Bar Breeding Cage)成魚を入れる硝子棒の檻とアクアリウム・トラップこれは今で言う産卵箱が載せてある。

    魚種名を列挙してみると、

    レインボゥ・フィッシュ Lebistes reteculatus グッピーの事。
     イラストは原種のオスで、まだ今のように尾が開いていない。

    ムーン・フィッシュ Platypoecilus maculatus
     体色によって6種に分けてある。

     ブルー・ムーン 背部が青藍色で金属光沢に富む。

     ブラック・ムーン 背部が灰褐色、腹から尾の部分が黒。
     ゴールド・ムーン 橙黄色であるが、臀鰭に稍赤みを帯び、尾の基部に黒の大斑がある。
     ピューア・ゴールド・ムーン 斑点がなく全体は文字通りの濃い黄色である。
     レッド・ムーン 淡い朱紅色を呈し、尾のところから腹部にかけて黒色の胡麻絞りがある。
     ピューア・レッド・ムーン 最近米国から輸入された。前種のように黒点を認めない。

    以上の他にサラサ・ムーンと言う種類があるが、これは我が国のレッド・ムーンとブラック・ムーンとの交媒種で赤地にブルー・ムーンの持つ藍紫色光を含み、且つ体全体に黒点がサラサ模様風に現れた色彩を持つ。

    ホワイト・ムーンという純白ではないが、白味の多い種類があるが、主として一つの変異で起こるものである。

    イラストはブルー、ピューア・レッド、レッド、ゴールドの4種が載せてある。ピューア・レッドが今で言うレッド・プラティでレッドはブラック・ペッパー・プラティ(あるいはサラサ)のようだ。

    セルフィン Molienisia latipinna セルフィン・モーリーの事
     この種は未だ輸入を見ない。本種に最も酷似するモリエニシア・ベリフェラ(M.velifera)があり、純粋なものがあるあどうかは疑問であるが、2、3の愛好家が飼育している。

    ブラック・モリエニシア Molienisia sphenops ブッラク・モーリーの事

    ソード・テール Xiphophorus helleri
     雄は水色地に背中が緑色で、脇腹に沿って1本と背鰭の中央に紅色の鮮やかな線を現す。この種の黄色のものを特にオレンヂ・ソード・テール、半月形黒剣のものはクレセント・ソード・テールといって区別している。

     雄1回の採精は優に4回の胎生に役立つと言われる。オレンヂ・ソード・テールはその尾鰭に黒点があるものが珍重される。

    レッド・ヘレリ Platypoecilus maculatus × Xiphophorus helleri
     プラティとソード・テールの交媒種。
     この他にブッラク・ヘレリ、レッド・ハイブリット・ヘレリ、サラサ・ヘレリ、ブルー・ヘレリがある。いづれも雄には尾に短い剣をもっているが、lこれを欠くこともある。

     イラストはレッド・ハイブリット・ヘレリ(これはサラサ・ソードの尾が短い物)とレッド・ヘレリ(レッド・ソードの雌のよう体型)

    トップ・ミノー Gambusia affinis
     殆どメダカの恰好で雄は腹に点があり、雌はレインボゥ・フィッシュの雌を思わせる。胎生で高温でないと産まない。この種の耐寒性の一種は最近我が国においても放飼が行われた。

2008年5月21日 (水)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その9

  • 第6節 プール用水草について
    ※ プールとは戸外のコンクリート池の事らしく、当時は大きな水槽がないため春から秋までの間、熱帯魚を戸外で飼育・繁殖したらしい。
    解説は7種、白黒写真6種、イラスト2種。種名の後の(写)は白黒写真有り、(イ)イラスト有りを示す。

    ウォーター・ポッピー Limnocharis Humboldtii (イ)
     ※ ポピーの事。

    リムノカリス・フラバ Limnodrelus flava (写)
     10度以上で越冬する。西印度産

    ヘアー・グラス Elescharis acicularis (イ)
     マツバイ、オゴケの和名を持つ。この水草は自生品を使うので本邦では市販されていない。

    ラドウィギア Ludwigia palustris (写)
     ※ ルドウィジアの事。

    ウォーター・ヒヤシンス Eichhonia crassipes (写)
     ※ ホテイアオイの事
     変種として E.major 花は淡藤桃色、E.aurea 花は淡黄色 がある。

    ウォーター・レッチェース Pistia stratiotes (写)
     牡丹浮草で泥植えすると書かれている。越冬が厄介なだけに春の株は高値で取り引きされる。

    ミリオフィラム Myriophyllim brasiliense (写)
     オホフサモの和名で呼ばれることもある。

    以上の他水草に
     ミヅオホバコ、トチカガミ、ナンキンカワホネ、タチモ、ホツスモ、ヒルムシロ、オモダカ

    浮草類の
     ヒンジモ、アカウキクサ、サンセゥモ、ミヂンコウキクサ、ウキゴケ、ミヅワラビ

2008年5月20日 (火)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その8

第5章 水草のページ

  • 第1節 水草の効用
    満足な衣(水)食(生餌)住(水草)無しには魚は絶対育たないと断言して差し支えない。
  • 第2節 水草と水槽(容器)との関係
    両側に水草を配し、残り半分は透明な水を望める余地を有する程度が良い。
    低いタンクを使う際は、サジタリア・スブラータ、エロデア、ヘヤー・グラス、オッテリア(みづおほばこ)など適当な物を選ぶ。
    ※ ミズオオバコではなくで記述している。誤植かと思ったが、次の節でも同じ記述をしているので意図的である。
  • 第3節 水草の作り方要領
    観賞効果と清潔の点では粗めの洗い砂がいいが、泥植えをせねばならない種類は鉢を用い表土を砂で抑える。
    水草は亦非常に地熱の高いことを欲するので、コイル等を根部に配線すれば最も旺んな成長を遂げる。

    ※ この方式が一般に広まったのは、デナリー社が日本に進出してからだと思う。昭和初期の飼育書に記述されていたのにその後どうして忘れ去られたのか。恐らくその後の飼育書が熱帯魚専門家(主に牧野信司)の手によるものであったため、主体が魚体本位にシフトしたためと考えられる。当然それは当時の新着魚ラッシュがそうさせた物だろうが。
  • 第4節 一般的注意
    近来百貨店などで、ミオウバコ、タヌキモ、牡丹浮草、ムジナモのような種類をアクアリウム用水草として見かけるのであるが、これらは池或いは鉢栽として観賞する目的のために売られているのであって、直ちにアクアリウムに用いる事は出来ない。

    冬眠期に入る種類ミヒキモ、トチカガミ、ヒロハノエビモは枯れるが、宿根草だけにそのままで良い。一年草のミヅオウバコは枯れたら取り去る。
  • 第5節 アクアリウム用水草について
    ※ここで水草各種を紹介、説明している。解説13種、白黒写真8種、イラスト4種(インネスからの引用)。写→白黒写真有り、イ→イラスト有りを示す。

    サジタリア・サビュラータ Sagitaria subulata (写)
     百貨店で1本5銭内外。ニューヨークからアラバマの海岸地で採取されたもので、米国では謝ってサジタリア・プシラ(Sagitaria pusilla)として知られていたものである。

    サジタリア・ナタンス Sagitaria natans (写)
     リボン・アローヘッドとして知られる。酸素供給量が多いので好まれるが、繁殖の遅いのが欠点といえよう。砂植、浅植がいい。

    サジタリア・シネンシス Sagitaria sinensis (イ)
     英名ブロードリーフ・サジタリア。大型タンクに用とされているが、成長緩慢と繁殖率の多くないことが欠点。ジャイアント・サジタリアとして評判高く、愛隣家の垂涎である

    バリスネリア・スパイラリス valisneria spiralis (写)
     英名テープ・グラス、イール・グラス、チャンネル・グラス
     セキショウモとして知られ別名ヒラモ或いは滋賀県地方ではオホイトモとも呼ばれる。
     イタリー原産の物は昨今米国で大量に繁殖が試みられている。
     この植物の愉快な習性は雌雄異株で、雌花は螺旋状の茎を水面に上げコップ状の白花をつける。雄花は根株に咲き、花粉が成熟すると水面に浮き上がり受精する。

    ジャイアント・バリスネリア (イ)
     南方アメリカ地方で旺んに栽培が試みられているが、目下本邦ではその姿に接するに至らない

    クリプトコリネ Cryptocoryne SP (イ)
     本種中に20~30種あるようだが、現在我が国では葉の広いものと、狭い品種の2種が栽培せられている。植え方は土植とし、表面を砂で覆っておくと見事な育成を見る。
     繁殖は走り根(ランナー)による。1株1円程度である。
     将来最も重要な水草として歓迎を受ける種類である。

    ウォーター・ファーン Ceratopteris pteridoides (写)
     最近タンク用として紹介された水草であり、普通20cm四方に成長するが、プールでは優に30cmになる。フローテング・モッスの別名もあり、水槽中の一異彩たるを失わない。養成中日光の直射に逢わせぬ事が大切である。

     最近東京方面の愛好家において、この水草がタヌキモ、ムジナモと同様水中に炭酸ガスを発生し、魚の生育に不適だとの意見がある。しかし米国の専門書には反対の意見が開陳せられ、却って良い酸素供給者として挙げている位である。

    ※ 写真を見る限り今で言うネグロ・ウォーター・ファンの事である。自分も持っているが150の水槽でも可成り大きくなります。しかし戸外ではうまく育たないのは前述の直射日光が良くないのかもしれない。

    カボンバ Cabomba Caroliniana (写)
     泥深い戸外では良く発達するが、タンク内では徒長し、魚の食害や動きで葉が四散するので、仔魚用タンクに植えられて優れた結果を得る。
     別名はワシントン・グラス、ウォーター・シェールド(Shield)
     この種の変種に茎が赤みを帯びたC.rosaefoliaがあるが、未だ日本に紹介されたのを聞かない。

    まつも Ceratophyllum demersum (写)
     キンギョモと混淆され易く、関東地方の池沼に自生するものである。注意点としてはアヲミドロの着生したものがある。関西地方において将来推奨せられる種類である。

    きんぎょも Myriophyllum spicatum (写)
     フサモ、クジャクモの異名があり、単に藻として取り扱われる。

    アナキャリス Elodea canadensis (イ)
     昨今の愛好家において添景物として役立つとしているが、西洋では非常に好評あるものとして推奨を受けている種である。ただ、多量の陽光を必要とする。
     デッチ・モス Ditch-Moss
     ウォーター・ペスト Water Pest
     ウォーター・タイム Water-Thyme
     パビントン・カース Babbingtons Curss
    上記のような好ましくない異名は、成長が早いためである。

    やなぎも Potamogeton oxyphyllus (写)
     別名ササバモと称せられることもある。繁茂が少ないので最初から相当賑やかに砂に植え込む必要がある。

    他に野生種として
    みずきんばい Jussia aerepens
    うきごけ Riccia fluitans ← リシア

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その7

第4章 貝類のページ
 ※ 貝については結構良く書かれていて著者は盛んに有用だと申しております。

  • 第1節 貝の効用
    魚の食べ残りの餌とか、容器面に附着した珪藻植物等を嘗め廻り何時も水の新鮮さを保つ為少なからず役立つ。又貝は魚より水質の悪変に対する感じが非常に鋭い結果、住むに不適と解れば水から抜けだしタンク面で休止するから報知具だとも言える。
    ※ 水質変化予見道具については、良く聞く話です。
  • 第2節 水槽と貝
    掃除をするからと言って沢山入れる必要はない。殊にコーラル・スネイルなどは最初美しくても、黄、橙色に変色し鮮やかさを失うに至る。これ故に予め他の適当な容器に入れ、純粋種の養成を常に行う必要がある。
  • 第3節 巻貝の養成法
    コーラル・スネイルについてい述べれば、容器は空樽が一番のように思う。樽底に10cm土を入れ、水を入れて暖かい場所に置く。貝の飼料としては一般にキャベツの葉或いは青菜の煮汁とか、煎った米糠を時々加えると好結果である。又シジミの砕いたものが好餌とされている。

    戸外では泥中で冬眠する関係上、春から秋まで繁殖を見る。又石灰質物を多量に要求する所から、石灰石とか貝殻末を瓶に入れることも養成上心得べき急所である。

    ※ 卵目愛好家はレッドラムズホーンを残餌の掃除用として使っていますが、どうしても殻がだめになるので、別水槽に大粒の珊瑚砂を入れ殖やす(維持)と聞いたことがあります。昔も同じ事をしていたんですね。
  • 第4節 有用な貝の種類其他
    オーストラリアン・レッド・スネール Australian Red Snails マメタニシ科
    Bulines australianus (Isadora proleus)
    体躯は小さい(イラストに20mmと書かれている)。コーラル・スネイルより活発に活動するが、東京の愛好家の間で僅かに飼育されているに過ぎない。

    ブラック・ラムショーン・スネール Black Ramshorn Snails ヒラマキガイ科
    Planobis corneus L.
    2cm以下の巻貝である。タンク内の忠実なる掃除夫(スカベンジャース)であるために常用せられている。稚魚を時々襲う場合も少なくないから、成魚或いは若魚の水槽内で飼われるのが安全である。コーラル・スネイルの半値。デンマークの原産

    コーラル・スネイル Coral Snail. ヒラマキガイ科
    Planordis  rubrum ←ブラックの学名と綴りが違う。誤植かもしれない。
    レッド・ラムショーン或いはコペンハーゲン・スネールとも呼ばれるもので、全体美しい珊瑚色を帯び、水槽用として名実ともに理想的な貝である。

    卵は硝子面に産まず、水草の葉裏とか茎に産むのが常例で、強光下で育てると色彩を増す。
    好んで野菜を舐食するから、新鮮な青葉を与えるのが肝要である。若貝は小魚も好んで食うから注意する。
    市価は大一個30銭北欧原産。

    まるたにし(丸田螺) Japanese Snails. タニシ科
    Vivaparus malleatus (Reeve)
    この他にオホタニシ、カクタニシ、タガタニシ、ヒメタニシがいる。米国では掃除夫として優遇を受けているが、活動が少ないので観賞価値に乏しい。晩春から夏期にわたり卵胎生で増える点が面白い。

    ものあらがい(物洗貝) モノアラガイ科
    Lymnaea japonica (Jay)
    巻いた部分が少なく、老成した物で高さ2cm、幅1cm内外の右螺旋貝である。身が柔らかいところから刻めば魚類の好餌である。

    おたまじゃくし Tadpole アマガヘル科
    Rana nigromaculata (Hallowell)
    巻貝類と同じ効用からで、或いはそれ以上に有用なもである。2cmぐらいのものがよく、脚のあらわれたものは避けた方がよい。
    有用だとはいえ、役務が終わったら出さないと魚へ与えた餌を失敬する。米国辺りでは特にアクアリウム用として販売している。

2008年5月19日 (月)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その6

第3章 管理のページ

  • 第1節 春の管理(4~5月)
    秋の加温は多少遅れても影響がないが、春の加温停止は慎重に考慮を払う必要がある。また、この時期は金魚屋に良いミヂンコが売られているので、これを幼魚に与え魚体の発達を計る。
  • 第2節 夏の管理(6~8月)
    百貨店その他において種類物が漸く出そろう時期である。
    直射日光を避けるため2枚の葭簀を通す程度の光線が適当だ。
    遠来の熱帯魚は生存や繁殖にも好都合な季節で、5~9月まで繰り返される。
  • 第3節 秋の管理(9~11月)
    戸外の水槽にある熱帯魚は遅くとも9月下旬までに移す。水の青く濁れることは魚は一向に平気だが、初心者は清水中に移し死に至らしめる。
    10月中、下旬から加温装置を施す必要があるから、用意万端済ませることが肝要である。
  • 第4節 冬の管理(12~3月)
    タンクが多数の場合は練炭ストーブが良い。特に石炭用としては完全燃焼、炭種不選、取扱簡易の日の丸ストーブが好適だと思う。
    湯浅練炭7寸もの2個(17銭内外)、石炭においては10瓩を2回投ずれば晩9時から翌日正午近くまで5坪位の部屋を20度に保持できる。

    比較的低温度に耐えられる種類を挙げれば
     トップ・ミノー
     フォークドテール・パラダイス・フィッシュ
     ブラック・モーリー
     モリエニシア・フォーモサ
     ムーン・フィッシュ
     ソード・テール
     ベタ
     リミア・アーノルディ
     クライミング・パーチ
  • 第5節 仔魚の採り方
    ブリーディング・トラップと言う粗めの網を沈め、これに予め親魚を飼う。稚魚は親に追われ網目を抜け出し、沈生卵は底孔から安全な場所に落ち着く。
    トウユウ科(グラミ類、パラダイス・フィッシュの類)はアクアリウム内を硝子板で仕切って雌雄を別々に置き、兆候を認めてから硝子板を抜き同居せしめる。受精後、雌を別居せしめる。
  • 第6節 仔魚の飼い方
    稚魚の間は大抵菜食であるから普通のやり方としては、少量の野菜の茹で汁とか、青水をスポイトで与え、数日後インフゾーリア、次にミヂンコ、成長に従って小さなイトミミズを給するといい。茹卵の黄味は有機質物であるから、細心の注意を払う必要がある。
    稚魚時代は時間など定めずに飽食せしめるぐらいする方が発育が早い。
  • 第7節 雌雄の見分け方
    雌雄区別の面倒な3種について、その要点を挙げれば
    エンゼル・フィッシュ
     1,頭の上の黒い縦縞が直上している。雌は斜め。
     2,腹鰭の基部が鋭角をなす。雌は鈍角である。
     3,腹鰭が長く美しい。雌は短く黒ずんでいる。
     4,尾鰭の上部が殊に発達している。雌は略三角形をなす。
     5,腹部の縦縞が濃い。雌は稍淡い。
     6,腹幅が狭い。雌は広い。
     7,目が大きい。雌は比較的小さい。→ほんとかな。

    ラスボラ・ヘテロモルファ
     1,胴部にある三角形の斑紋の下線がボカされている。雌はクッキリしてある。
     2,背鰭に5本の黒い筋をもつ。雌はなし。

    ゼブラ・フィッシュ
     1,尾鰭の縞目が正しく直線。雌は上下弧状に湾曲している。
     2,体躯が細長い。雌は稍丸味を帯びる。

    この説明は今でも結構役に立ちそうです
  • 第8節 給餌の分量と時期
    過食の害を未然に防止する方策として、日を定め週に1日欠食させる遣り方を採っている人もいる。時期は毎日日課とし、時間も定めておく。衣服も一定に置くことも有効な方法である。

-----メモ-----
葭=あし・よし・カ、瓩=キログラム

2008年5月17日 (土)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その5

 第4節 購入上の注意

  • 魚類
    マウス・ブリーダー Mouth Breeder
    クライミング・パーチ Climbing Perch
    ラウンドテール・パラダイス・フィッシュ Roundtail Paradise Fish
    デルモゲニス Dermogenys Pusilus
    アカラ・ポータレグレンシス Aequidens Potalegrensis
    以上は多少の習性に愉快を持つぐらいで活動、美観の点においても興味が少ない種である。

    クローキング・グラミ Croaking Gourami
    トップ・ミノー Top Minnow
    リミア・アーノルデー Limia arnoldi
    パンチャックス・パンチャックス Panchax panchax
    モリエニシア・フォルモーリ Mollienisia formosa
    以上は繁殖は用意であるが、小鮒かモロコに酷似し、美しさに乏しく一般の好評を期待することは難しい。
  • 巻貝類
    コーラル・スネール(Red Ramshon、Coral Snail)は赤いもの程良く、朱橙、黒、黄は純粋種でないから避けるべき。
  • 水草類
    洋種は培養したものであるから心配ないが、野生の採集品には害虫やアヲミドロが付いているので注意する。

 第5節 飼料の種類

  • 生餌
    餌には生餌と乾餌があるが、乾餌は補助飼料であり魚は決して喜ばない。生餌なしに魚の飼育を遂げんとすることは、木に寄って魚を得んとする類である

    いとみみず Tabifrex Woom、Tubifrex hattaiNomula トピフエックス科
    関西のは比較的短く約20mmで褪鮭肉色鮮やかで、関東方面のものは稍大型で黒味を呈する。

    本種の他に次のものも一般にイトメと称している。
     Limnodrelus gotoi ゴトウイトミミズ
     Limnodrelus Willeyi タミミズ
     Monophylephorus Limnosus

    みぢんこ
    Daphnia pulex DeGeer ミヂンコ科
    殖やすには空樽の方がいい。鉢や瓶では繁殖が悪い。
    属名のダフィニアとはギリシャ神話に出てくる人物名である。

    本種の他には
     しだ Sida crystallina O.F. Miille
     まるがひみじんこ Notodromas monacha O.F. Miiller
     まるみじんこ Chydorus Sphaericus O.F. Miiller
     けんみじんこ Chydorus strenuus Fscher
     サイプリス Cypris

    ぬかえび Xiphocaridina compressa
    ぼうふら Culex pipiens pallens Coquillet
    インフゾーリアとロティフェラ Infusoria and Rotifera
    エンサイトリー Enchytrae ホワイト・ウォームのこと。
  • 乾餌
    N・I フードの調製量
     鰹の素         2コップ
     乾えび粉       1/2コップ
     メリケン粉       1コップ
     ベーキングパウダー 茶匙1杯
     石灰           1/2匙
     斜利塩         2匙
     理研レバー      10粒
     茹卵の黄味      2個

    東京の愛好家 柴田氏は
     乾えび粉      200g
     はやの粉      100g
     米糠、米の粉   100g
     葉緑         1瓶

 第6節 室内の水槽

  • 温室内にプールを設けると大型種等を増殖できる。一人の管理工程に大きさは幅3m、長さ6mが適当。

 第7節 室外の水槽

  • 水槽の大きさ 瀬戸引金魚鉢や丹波鉢でもいいが、深いより少々浅く表面積がある方が成績がいい。
  • コンクリート水槽の作り方
    最深部で70cm、周辺部部を40cmと20cmの2段にする。厚さは10cmぐらいとする。
  • 一般的注意
    プールでも水瓶でも魚を放飼する場合は、四辺に水草類を浮かせることが肝要である。これは魚の飛び出し防止のためである。

2008年5月15日 (木)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その4

 第2節 水鉢

  • 白黒写真で各種水槽紹介
  • 金属製の框に硝子を填めたものはタンクと呼ばれる。総硝子製で円筒形のものは、俗にヅンドン、電池のバットがある。普通は平面な硝子を使った物がよく、殊に奥行きの狭い物がいい。

 第3節 飼育の手順

  • 白黒写真で「水草植え込み順序」、イラストでインネスの本より「水草の植え方」
  • 「砂植と土植」
    洗い砂を3~4糎ぐらい敷くが、細砂より2~3粍程度がいい。水草の種類によっては眞土を混ぜ上に荒砂を置く方法もある。また、泥土で団子を作り隙間に砂を入れる遣り方もある。ただし、水草には荒砂がいいようだ。
    団子とはADAの「侘びさび」商品の先取りのようだ。
  • 「水草の植え方」
    浅植えの方がいい。量が少ないときは両側に植えると繁茂する上で好都合である。分檗(根張り)の少ないラドウッキアやサジタリア・シネンシス等はまとめて植える。植え終わればその上に化粧砂または玉石を置くのもいい。
    この時代に今流行の化粧砂と言う考えがすでにあった。

    野生品種は水瓶などに仮植えし、アヲミドロや病害虫をなくし収容する。
  • 「貝の取り扱い」
    巻貝を養うことは従に属し、魚と水草の間に介在し三者が相互扶助的な生存しているものに意義がある。
    交雑を防ぐため同一種を一タンクで養い、繁殖を放任しないこと。
  • 「用水の話」
    井戸水は硬水であり酸素量が少ないので、一度汲み置きし十分日光に晒していくことが大切である。
    青い水は葉緑が存し魚には害はないが、観賞に不便であればミヂンコを入れると透明になる

    素人方が金魚の水を全部取替え、魚がさかんに活動し始めると嬉々とするが実は苦悶しているのであって、無知を悲しみたい。
    換水は精々三分の一を残し行う。

    最近売り出された「オキシデーン」(Oxydene)と称する焦茶色の鉱石は、浄水以外にも47%の純粋な酸素含まれ、有害なクロライン(Chlorine)の中和に効果がある。米国ではこれ無しの養魚はないとまで言われている。用法は、1~2塊を入れ置くだけである。用量は5立に対し500瓦が適量である。

    かなり以前「オキシデータ」と言う円筒形の商品があり、これも活性酸素増加をうたい文句にしていたように思う。70年前に同じような商品が存在したのか。ただしオキシデータは薬品を追加するような製品だったかもしれない。

    一部の愛魚家は酸化を防ぐため石膏或いは石灰石を入れる試みもしている。
    金魚鉢のように途中が太いタンクは表面積が多い部分までしか水を入れてはならない。
  • 「恰當な置場所」
    白黒写真はコンクリート製の商業的な養魚室(引用メレン)、米国におけるペットショップ(メレン)、園芸温室内の雛壇式配列、温室植物に配せられたテーブル・アクアリウム
    簀一枚越しの光線を受ける温度変化の少ない場所が理想。
  • 「飼育上の注意」
    イラストは収容過大による魚群の鼻上げ(インネス)
    白黒写真は超紫光線を1~15分浴びせ成長の如何を実験中(メレン)

    タンク設置後、跳び出し防止に金網等で蓋をする。魚の数は4号型ではグラミ類は一番(つがい)、ソードテール、フレーム・フィッシュ、パンチャックス、ムーン等は三番。エンゼル・フイッシュ、アカラ等は1号型に1尾または一番。
    我々は失敗を通じて更に良く飼育上の注意を与えることであろう。

----メモ----
糎=センチ、粍=ミリ、分檗=ブンハク? 檗=キハダ、立=リットル、瓦=グラム、恰も=あたかも、コウ、當=トウ、あたる、簀=す、サク

2008年5月14日 (水)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その3

熱帯魚飼育黎明期の飼育本なので、丁寧に紹介していこうと思います。

序篇
第1章 熱帯魚に就いて
 第1節 熱帯魚の飼育起源

  • 紀元後300年硝子器の製作が行われ、それに小魚を飼養したと文献に記録がある。80年前に金魚が渡来し、改良して西洋へ輸出にするようになった。西洋ではかかる養魚熱の高まりと共に熱帯魚も飼養するようになった。そして今に至る。

 第2節 熱帯魚の分布

  • 今知られている熱帯魚は100種前後である。産地によって水温が違うので、飼育に際しては産地を知る必要がある。
  • 世界でもこんなに少なかったのが解る。

 第3節 熱帯魚の流行

  • ドイツがもっとも研究し普及しており、ついで米国である。本邦は10年余りであろう。昨今愛育されてる先輩諸氏でも4~5年であろう。価格も今や投機的で悲観している。あくまでもtoy Fish、Petで役立つことを希望する。
  • この本が昭和9年発行であるか事から、日本での熱帯魚飼育の始まりは大正14、15年と推測できる。また、ドイツは昔から熱帯魚の先進国であったこともわかる。

 第4節 本邦における熱帯魚

  • 本邦の魚界は東京の秋山(吉五郎のことか)、廣瀬(巨海のことか)が先鞭をつけ、松平、池田の両侯、斎藤、稲葉、水野、赤星(鉄馬のことか)、三井(財閥?)、内田、鷹司(信敬のことか)が著名な愛好家である。松平候のエンゼル・フイッシュ、稲葉子爵のベタ・カンボジアが本邦初めて孵化成長した。
  • 以上の名をみると、かなり高い地位の人たちにより熱帯魚飼育が始められたことが解ります。
  • 今、蒐集家の垂涎種は

アフィオセミオン・オーストラル Aplyosemion australe メダカ科
ベロネソックス・ベリザナス Belonesox belizanus メダカ科
ブルー・ファンデゥラス Fundulopanchax bivitatus メダカ科
フレーム・フイッシュ Hyphessebrycon flammeus メダカ科
ベタ・カンフラワー Betta sp Counflower トウユウ科
ポリセントラス・コンベルキー Polycentrus schomburgkii ポリセントリ科
ジュエル・フイッシュ Hemichromis bimaculatus キクラ科
メソナウタ・フェスティバム Mesonauta festivum キクラ科

  • 次に純粋系を尊ぶような傾向を示す時代が来るだろう。

飼育編
第2章 準備のページ
 第1節 用具について

  • 白黒写真で注水用如露、篩(ふるい)2種、注水用漏斗、サイフォン用ゴム管、手網2種
  • イラストで二球式送空器(ゴム球を押し空気を送る道具)、真空硝子管で作った粉餌が拡散しない器具、イトメ入れ(穴のあいた硝子にコルクを付けてある)、Eletric Aquarium Warmer(米国製)
  • 解説がある器具として差水用漏斗、篩(イトメ、ミヂンコ調整用)、手網、ゴムホース(パラマウント・サイフォンルバー・サイフォンがある)、鋏、如露、匙、ピンセット(ホワイト・ウォーム投餌等)、水温計(室内北面にも寒暖計が有った方がいい)、バケツ、柄付茶漉(ミヂンコ用)、摺鉢と摺粉木(粉餌用)、柄杓、スポイト
  • サイフォンのについては良くわかりません。

2008年5月13日 (火)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その2

 箱は文字が書かれている箇所はマリンブルーだったと思われ、出版社名がアルスではなくARSと表記されています。
 表紙は同じくマリンブルー(褪色していない)に銀でエンゼルフッシュが描いてあると言うか、凹凸が少しあって変わった作りになっています。また、背表紙も書名部は臙脂に金文字、扉と口絵の前にはごく薄いグラシン紙が挟んであり、紙質も厚く全体的に豪華な作りの本です。

口絵 各写真は片面印刷です。

  • 最初の3枚は著者?の温室のようです。鉄骨づくりで天にはガラスがはめ込まれ、かなりの規模のように見えます。
    また、所狭しと植物が置かれているので、園芸家らしいと思います。水槽はガラスバット水槽3段でこの規模もちょっとしたSHOP並だと思います。
  • 4ページ目はエンゼル・フィッシュ(ハーフ・ムーン)の白黒写真ですが、かっこ書きの意味は良くわかりません。
  • 5ページ目は絵画のような白黒のイラストでラスボラ・ヘテロモルファ、アンバシア・ランガ、バディス・バディス、スカトファガス・アルガスが一枚の絵に描かれています。アンバシアの絵は海産のタナゴみたいで、今で言う何なのか良くわかりません。バディスも説明が書いてあるから解りますが、メバルみたいです。
  • 6ページ目も同じようなイラストです。パラダイス・フイッシュ、ストリップド・ダニオ、ブルー・ダニオ、バルブス・コンクニアス、バルブス・オリゴレプス。ブルー・ダニオはゼブラ・ダニオの事ですが、ストリップドはジャイアント・ダニオかもしれません。また、コンクニアスはロージー・バルブかな。後者2種は自信ないです。
  • 7ページ目はモリエニシア・ラティピンア、リボンテールド・パンヤックス、ベタ・カンボジア、ベタ・スプレンデンス。リボンテールは絵を見る限り卵目のライアテールの事だと思われます。
  • 8ページ目は白黒写真で「総硝子タンクと植え込み準備」とタイトルが付されています。

  •  現代風に言うと「最近熱帯魚を集める人が多くなり、無経験な自分たち専門家に質問する人が多くなってきた。そこで熱帯魚の指針たるべき良書が出版され喜ばしいことである。日本人が金魚において珍品種を作出してきたように、熱帯魚も珍品種が作り出される事を希望する。」 京都市立記念動物園にて 川村多實二 識

序言

  •  ここも現代風に「園芸に携わる者であるが、水草を集めながら動きのある熱帯魚を余興として飼養し始めたら色彩美や習性が面白くなった。一部には買いあさっている人もいるようだが、我々はFish Fans として愛育したいものである。最近1,2の類書が出版されたが公務の合間を使って最新の本を著し熱帯魚界の発展に貢献できれば幸いである。」その後、川村氏(東大教授で園長)、宮地傳三郎(当時はまだ京大講師)に謝意を述べている。
     類書とは
    鷹司氏と同じくアルスから出版された雨宮氏の本を指していると思われる。
  •  さらに興味深いのは、この本執筆に当たり熱帯魚の収集に、侯爵 松平康昌、斎藤省三、吉井千代田に謝意を表している。侯爵の名が出るあたり熱帯魚の趣味が当時いかに上流社会の趣味であったかがわかる一文である。


主なる参考文献 10冊を参考文献として書名と著者が書いてある。
 熱帯魚                       鷹司信敬
 Goldfish Varieties and Tropical Aquarium Fishes.  Innes, Wm. T.
 Das Modern Aquarium.              
Innes, Wm. T.
 Tropical Toy Fishes.               Bade, E.
 Brehms' Tierleben (Vol.3 Fische)        Brehm, Alfred.
 Die Susswasserfische.              Bade,M.
 Praktikum der Fischkrankheiteh.        Plehn, M.
 Das Leben  der  Binnengewasser.        Willer, A.
 Freshwater Fishes of India           Beavan, R

 当時から米国ばかりでなくドイツかオランダ?に良い本があった証かな。
インネスぐらいしか知りません。

凡例  現代風に
 淡水産熱帯魚だけ
 多くの図版を入れた
 初心者を対象に精密な図版とした
 熱帯魚と言いながらも水草も20種入れた
 温度は摂氏、尺度はミリメートル
 便利なように和名と洋名の索引を作りました
 熱帯魚界の全容のため熱帯魚一覧表をつけました

目次

2008年5月11日 (日)

「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 アルス 昭和9年

原色図解 「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 アルス 函有り 四六版(寸法が近い) 昭和9年6月11日 参円八拾銭 249ページ(他に索引が29ページ)  川村多實二 序 宮地傳三郎 校閲

 著者は園芸関係の本を数多く執筆しているようですが、熱帯魚界では知られていないと思います。
 序文と校閲は魚類学では有名な方なので、著者も大学の教授なのかもしれませんが、良くわかりません。

 アルスからはこの他にアルス科學寫眞叢書として 「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作・加藤邦三が同じく昭和9年に出版されています。また、このシリーズの他にアルス文化叢書の中に「日本の金魚」 松井佳一 昭和18年が出版されています。ともにいずれ紹介していきたいと思います。

構成

口絵

序言
主なる参考文献
凡例
目次
序篇
 第一 熱帯魚に就いて
飼育篇
 第二 準備のページ
 第三 管理のページ
 第四 貝類のページ
 第五 水草のページ
 第六 熱帯魚のページ
 第七 魚類病害のページ
 第八 魚類の寄生蟲と害敵のページ
 第九 熱帯魚と輸送法
観賞篇
 第十 アクアリウムの装飾と観賞
 第十一 アクアリウムに相應しい温室植物
附録 熱帯魚一覧表
索引
 洋名索引
 和名索引

-----メモ-----
西暦1934年=昭和9年
関連本

2008年5月 9日 (金)

「熱帯魚の楽しみ方」 和泉克雄 その4

第7章 害敵のいろいろ
 第1節 何がいちばんこわいか

  • ヒルが一番だといえる。水槽に多いのは「ヒルド・ヤポニカ」普通のヒル。魚に直接害がないと言う人もいるが、卵生メダカのライヤー・テールの水槽でヒルがいる水槽の卵は100%ふ化しなく、いない水槽では100%ふ化した例もある。塩水にも強いので対策法はない。

 第2節 ミズミミズ

  • 水を酸性にし、ウォーター・スプライトなどの葉の柔らかなものは食べる。対策法なし。リセットし水草は処分。

 第3節 イカリムシ

  • 金魚やコイに多い。この場合はカルバミン酸エチルウレタン通称「ウレタン」と言う麻酔薬で魚を眠らせピンセットで抜く。小さな熱帯魚では無理。

 第4節 ヒドラ

  • ギリシャ神話に出てくる九つの頭を持つヘビのこと。被害は1cm以下の稚魚が多い。駆除には硝酸アンモニアを水1リットルにつき0.1gが効果があるが稚魚には無理。
  • 野外で栽培した水草に付着していることが多い。これって結構みなさんやってると思うので注意しましょう。

 第5節 ウオジラミ(チョウ)

  • 戸外の金魚やコイに寄生し水槽内では少ない。戸外から持ち込む水草を過マンガン酸カリ水溶液(水1リットルにつき0.1g)で消毒する。前記事に消毒時間が出てますから読んでみてください。
  • またウオジラミは麻酔薬に強いため魚を眠らせウオジラミを泳がせ魚体から離すか、ピンセットで除く。

 第6節 その他の害敵

  • ゲンゴロウの幼虫やヤゴ。意外なのは3歳ごろまでの幼児。笑えますが本心で書いてます。

第8章 水草のいろいろ (i)はイラスト有りを示す。
 第1節 水草の美しさ

  • 世界で水槽用水草として知られているのは約250種、うち日本で知られているのは約40種。

 第2節 アマゾンソード・プラントの仲間

  • 40種が知られているが日本では数種。アマゾンソード・プラント(i)、ラジカンス(i)、 セロファン・プラント、ラッフル・ソード(i)、メロン・ソード(i)、チェーン・ソード(i)、サジタリア・スブラータ(i)    

 第3節 アポノゲトンの種類

  • 世界では13種が知られている。マダガスカル・レース・プラント(i、Ap・フネストラリス、Ap・ベルニエリアルス、Ap・ヘンケリアヌス)、ウンジュラトス(i)、ウルバセウス(i)、クリスパス、ナタンス、コルダトス、ジスタキウス(和名ミズサンザシ

 第4節 クリプトコリネの種類

  • 70種が知られている。ベケッティ(i)、グリフィッティ(i)、ウイリッシュ、シリアータ、アフィニス、ロンギコーダ、ネビリイ、レトロスピラリス(i、当時はアンダリタムと間違えられた)

 第5節 温帯・亜熱帯の種類

  • バリスネリア・スピラリス(i、和名セキショウモ)、トルチフォリア、ビワエンシス、ルドウィジア・ナタンス(i)、ハイグロフィラ・ポリスペルマ(i)、ウォーター・スプライト、ウォーター・ウイステリア、ウォーター・クローバー、ウォーター・ロベリア
  • ウォーター・バナナ・プラント、ウォーター・チェストナット(ヒシ)、ウォーター・ヒヤシンス、ウォーター・レタス、ウォーター・ローズ、ウォーター・オーキッド、ヘア・グラス、アナカリス、ミリオピラム、セラトピラム、カボンバ、コウホネ、ミズスカンポ(ウォーター・リリー)

 第6節 浮き草の種類

  • アオウキグサ(レムナ、スピロデラ)、アカウキグサ(アゾラ)、サンショウモ(i、サルビニア)、リシア、ニテラ(i、フラスコモ)、ウイロー・モス(i)、ミクロソリウム

第9章 エサについての知識
 第1節 エサは魚の食事
 第2節 乾燥飼料
 第3節 動物性のエサと植物性のエサ

  • タラの肉はゆでて与えるとよろこんで食べる。

 第4節 培養できるエサ

  • ブラインでもサンフランシスコ湾のものは3.5%でソルトレーク産は27.5%海水濃度で良くふ化するように産地の違いを知ることが大事

 第5節 もっとも栄養のあるミミズ
 第6節 イトミミズ・アカボウフラ・ミジンコ

第10章 水についての手帳
 第1節 水の成分について
 第2節 酸性とアルカリ性
 第3節 水質の調整
 第4節 硬水と軟水

  • 無機分(カルシウムやマグネシウムなど)が100万に対し0~50(50ppm)が軟水、100~200が硬水である。1kgの水に0.001gの重さの無機分が存在すると1ppm。

第5節 硬度Phとの関係
第6節 水と酸素の関係

  • 空気は酸素1に対し窒素4、水は酸素1に対し窒素2。熱帯魚がいる地域の平均温度が25度付近というのは、この温度時の溶存酸素が多いと言う事実もある。

第11章 魚との対話
 第1節 魚との対話
 第2節 相手をいたわるということ
 第3節 魚のは愛情があるだろうか?
 第4節 魚の心
 第5節 熱帯魚の今昔
 第6節 熱帯魚の再発見

第12章 飼い方とふやし方

 第1節 シクリードの仲間
 第2節 カラシン科の仲間
 第3節 コイ科の仲間
 第4節 卵胎生魚の仲間
 第5節 グッピー
 第6節 卵生メダカの仲間
 第7節 迷宮魚の仲間たち(アナバンテード)
 第8節 ナマズの仲間
 第9節 ドジョウの仲間
 第10節 レインボー・フィッシュとハゼ、サン・フィッシュ
 第11節 変わった形の魚たち
 第12節 恐い顔の魚たち

2008年5月 8日 (木)

「熱帯魚の楽しみ方」 和泉克雄 その3

第3章 熱帯魚の選び方
 第1節はじめて飼うにはどんな魚がいいか

  • ブラック・テトラとネオン・テトラのイラスト

 第2節 水槽の大きさと魚の数

  • 収容できる魚数は水表面積によるとし、1~15cmまでの1尾に対する必要水表面積が書かれた一覧表が載せてあります。因みに5cmでは80cm2、10cmでは420cm2、15cmでは1170cm2となっています。ただしこれは最大値との断り書きがしてある。
  • ちょっと試算してみると90cm水槽で15cmの魚は3~4匹となり、60cm水槽で5cmの魚は22匹程度になります。

 第3節 魚の組み合わせ  実例を紹介
 第4節 よい魚のえらび方
 第5節 繁殖用にはメスを多く

  • グラミーはオスを多くするとうまくいく。知らなかったです。

 第6節 同じ水槽で飼える魚と飼えない魚

第4章 さまざまな飼い方
 第1節 簡単で楽しい飼い方

  • 最も簡単で楽しい飼い方は1種を一つの水槽で飼うことだそうです。

 第2節 装飾的な飼い方

  • すでに流木を使用したディスプレイの事を書いています。ただし「木骨」と言う表現です。(長い間海水に浸されていた破船や流木の断片等)

 第3節 家族水族館式飼い方

  • 兎に角多くの水槽を並べて飼う方法を意味しています。

 第4節 趣味的な飼い方

  • 特定種のみを深く飼育する。なぜなら「その価値はその人だけにある、というところに、より以上の美しさがある」からだとの事。詩的ですね。

 第5節 研究的な飼い方

  • 趣味的な飼育に似ているが、解明されていない点を研究していく飼い方。「ただ外国の本からの受け売りや、子供相手の紙芝居のように、魚の写真だけを並べて口上をのべるだけの本」より貴重だと辛口な事を言ってます。でもそれが飼育本のような気がしますが。

 第6節 副業を目的とした飼い方  6つの条件を挙げています。

  • 1,好きな魚だけ、2,経験と知識が深い、3,時間的に恵まれている、4,初めから利益目的にしない、5,飼育している魚が高級魚である、6,一軒だけの店と取引。ネット時代の今は少し違うかなと思いながら読んでいると最後に、「美しい心と人一倍の努力」が必要だそうです。

第5章 日々の手入れと管理
 第1節 水の状態について
 第2節 エサの与え方

  • 「毎日エサは与えるのか」と問う人がいるが、「こういう人は魚など飼わない方がいい」と断言してます。

 第3節 魚と魚の関係について
 第4節 水草の手入れ

  • 魚の入っている他の水槽から水草を持ってくるときは、2リットルの水に塩を2g入れ1分間すすいでから入れると説明。

 第5節 掃除の時期

  • 前にも書いていますが2~3ヶ月が限度であり、グッピーやスカスでは1ヶ月との事。それもリセットです。

 第6節 器具の点検

第5章 病気とその治療

  • 今では使えない薬品もあろうかと思いますが、「昔はこんな治療をしてたんだ」という風にお読み下さい。結局、塩は結構万能なんです。

 第1節 病気の原因
 第2節 白点病とその治療薬

  • メチレンブルーはチアジン染料の一種で水2リットルに対し0.1g、硫酸キニーネはインドネシア産のキナの皮が原料で熱湯に溶けやすく水18リットルにつき0.2g、塩酸キニーネは硫酸キニーネに塩化バリウム、活性炭素を使って作り、より水に溶けやすい。
  • 水草の消毒は水1リットルにつき20gの塩を入れて20秒間つけるか、水1リットルにつき過マンガン酸カリ0.08gを溶かし15分間つける。

 第3節 口腐れ病とその治療法

  • 口腐れ病はマウスファンガスとも言う。水溶性ペニシリンを水40リットルにつき4~10万単位、テラマイシンを水20リットルにつき250mg、アクロマイシンまたはシグママイシンを水20リットルにつき50mg、モナフラシンを水60リットルにつき0.6g。

 第4節 マツカサ病とひれ腐れ病・その治療法

  • マツカサ病はドロプシー、リンリツ病、水腫とも言う。初期は口腐れ病に同じだが重傷は無理。ヒレ腐れ病はアクリフラビン。

 第5節 さび病・ふるえ病・眼球突出病

  • さび病はコショウ病、ビロード病、ベルベットとも言う。塩、アクリフラビン、キニーネが有効。マラカイトグリーンは効くが危険。ふるえ病は魚カゼ。眼球突出はポップアイの事で初期は10%の食塩水か5%のメチレンブルー溶液。

 第6節 黒点病・白雲病・寄生虫病・赤斑病・その他

  • 黒点病と白雲病には10%の食塩水。赤斑病は腹部がふくれ内出血する。過マンガン酸カリの10万分の1溶液にひたすと効果がある。

2008年5月 7日 (水)

「熱帯魚の楽しみ方」 和泉克雄 その2

カバー

  • 珪砂にバリスネリアとアマゾンソードが植栽された中にエンゼルフィッシュの成魚が泳いでいる姿です。珪砂といっても色は白っぽいのでもしかしたら違うかもしれません。水が白濁しているので撮影用のセッティングと思われ、エンゼルの体にもキズが見られます。

扉 ディスカスの点描イラスト付き。

口絵

  • カラー写真が8ページ載せてありタイトルとして「熱帯魚への誘い」と付してある。
  • ジスカス(カバーと同じ水槽にブラウンとブルーの混泳、ディではなくなんです。)、ベタ(産卵シーン、闘争シーン、「闘争しなければならないのか?美しい花のようなすがたなのに・・・・」と詩的に解説)、グラス・キャット・フィッシュ(カバーと同じ水槽に18匹群泳)、スポーテット・ナイフ・フィッシュ(カバーと同じ水槽)
  • 群遊(この表現もまたしかりで他の飼育本では見られない表現だと思います。、ネオン、エンゼル、ヘテロモルファ、グッピー、セルパーたぶんサーペ、プラティ、ホワイトパラダイス、水草はジャイアント・サジタリア、スクリュー・バリスネリア)、カージナル・テトラ、スポッテット・ガー・パイク、グッピー(氏作出のタキシード・デルタ・オブ・フォンテーヌ、アルビノ・セルパン・オブ・フォンテーヌ)

はじめに

  • 「最も美しい愛は、相手を限りなく美しいものにします。」とし、この本は相手をよりよく知るための「序曲」のような役目をすると述べています。

第1章 熱帯魚のあらまし

  •  第1節 熱帯魚とは?
  • 第2節 熱帯魚の歴史
    日本に輸入されるようになったのは1925年(大正の末)ごろからだそうです。
  • 第3節 熱帯魚の種類
    この当時では研究材料、1回のみの珍種を含め700種が輸入されたが、普通見られるのは200種程度であり、一般の店では100種いれば多い方であると解説。
  • 第4節 熱帯魚の原産地
    アフリカ大陸、南アメリカ、東南アジアが熱帯魚の三大原産地である。
  • 第5節 熱帯魚の学名
    著者は三名式と称し属名+種名+命名者としています。「エンシス」は地名からで「何々生まれ」、種名に「i」がある場合は人に敬意を表したものであると解説しています。
  • 第6節 熱帯魚の呼び名と和名
    「赤ヒレ」を例に「ほほえましい」と言っていますが、元来が外国産なので和名はないとも言っています。

第2章 飼うための準備

  • 第1節 水槽を置く場所
    理想的な場所として、後ろが壁、出入口でない、鉄製の専用台、水道栓に近い、排水に便利、コンセントに近いとしている。まるで温室です
  • 第2節 水槽の選び方
    この当時ステンレス枠が主流だったので、著者もこれを推奨してます。イラストにはこの他バット水槽とプラスチック水槽が描かれている。一つ感心したのは新品水槽導入時、外面は水を入れてから拭くべしと言う下りです。
  • 第3節 砂と水草(スクリューバリスが植栽された白黒写真)
    熱帯魚愛好家の中には、砂を惜しむ傾向があると指摘し、10cm以上にしなさいと解説しています。「水草の全て」を著した筆者ならではです。
  • 第4節 照明について(45cm用の1灯式ステンレス蛍光灯の白黒写真)
    照明は10時間必要と説き、色つきランプは飼育者の人柄を下品に見せるとまで言い放つあたり氏の文章を知る人にとっては成るほどと頷いてしまいます。当然に自然色と言っています。
  • 第5節 保温器具と水温計(サーモスタットとヒーターの白黒写真)
    サーモ、ヒーター共に優良品を2組揃えるのが賢明だと説明。なぜなら修理は2週間かかるかららしい。因みに当時修理の話は聞いた覚えはないです。また、水温計は「浮きテルモ」が一番とのこと。これは広告も見た記憶ないです。
  • 第6節 エア・ポンプとフィルター(箱型とドーム型のポンプ、投げ込み式とコーナー式そして底面式フィルターの白黒写真)
    ポンプを長持ちさせるには昼夜を2台に分けて稼働させると説明。
    フィルターは底面式がよく、大きさは底面の1/3~1/4で十分かつ直接砂をのせる事だと断言してます。また水は3ヶ月が限界だと言っており、グッピーの権威者らしい解説だと思います。

2008年5月 6日 (火)

「熱帯魚の楽しみ方」 和泉克雄 西東社 昭和43年

「熱帯魚の楽しみ方」 (副題)正しい飼い方とふやし方 和泉克雄 西東社 昭和43年9月1日初版 450円 282ページ

 著者は熱帯魚界では非常に有名な方で、特に初期のグッピー界においては相当活躍された方です。フィッシュマガジンに連載されたグッピーの遺伝や氏の本業である詩の表現で書かれたグッピーに関する記事は本となり出版され、今では手に入り難い古書です。

 また著者はグッピーばかりでなく、グッピー以外の卵胎生メダカ、卵生メダカ、水草と当時メジャーでない方面についても良く書いていて、特に「水草のすべて」は今読んでも内容は可成りの物です。しかしこれも古書が少なく高価です。

 当時、フィッシュマガジンを読んでいた私にとっては「スカイブルーネット」が何とか とか言われても興味がなかったので一読して流していたほどです。しかし、同世代でも著者を師と仰ぎ温室にまで足を運んでいた少年がいました。その少年こそ惜しまれながらも亡くなった筒井良樹氏でした。

 本書は西東社の「レジャーを豊かに」をコンセプトとしたレジャー・シリーズの23番目の本でした。ちょうど時は高度成長期、和泉克雄氏が一般の飼育書を著したのもわかる気がします。因みにこのシリーズには金魚の本はないようです。
 シリーズには29に桜井良平著 「金魚入門」があります。(※コメントにより教示感謝)

 東西社はこのシリーズの他に当時フィッシング・シリーズも出版していますが、この中でも特に11の小ブナ、19のマブナ、30のタナゴ、36のホンモロコ・地モロコはあまり市場に出てこない本です。

 著者の「水草のすべて」、「グッピーへの招待」、「グッピー百科」、「グッピーの美」(解説)他ついては、いずれまた紹介していこうかと思います。

構成

口絵 カラー写真
はじめに
目次
第1章 熱帯魚のあらまし
第2章 飼うための準備
第3章 熱帯魚の選び方
第4章 さまざまな飼い方
第5章 日々の手入れと管理
第6章 病気とその治療法
第7章 害敵のいろいろ
第8章 水草のいろいろ
第9章 エサについての知識
第10章 水についての手帳
第11章 魚との対話
第12章 飼い方とふやし方 (ここが種類の紹介)
あとがき

 この本にも さくいん がなく12章に種類名(本書ではグループ名)を載せていますが、前本のように全てでないところに違いがあります。また、章のネーミングにも詩人らしさがでていて面白いですし、11章まではすべて各々6節でまとめているのも特徴的です。

-----メモ-----
西暦1968年=昭和43年
関連本

2008年5月 2日 (金)

「熱帯魚の飼い方」その6

名称の後の(p)は白黒写真有りを表しています。

 第5章 闘魚科  ラビリンスは鶏頭と花のような形をしているらしい。

  • ブルー・パラダイス、ホワイト・パラダイス、ベタ、ブルー・グーラミ、パール・グーラミ(p)、ドワーフ・グーラミ、ジャイアント・グーラミ、シック・リップ・グーラミ、オスフロネームス・ゴラミ、キッシング・グーラミ(p)

 第6章 シクリッド科

  • シクラソーマ・セヴェラム(p)、シクラソーマ・フェスティバム、ジャック・デンプシー(p)、ファイア・マウス、チャンチトー(15度も有れば飼育できますと説明)、チョコレート・シクリッド、ブラックバンデッド・シクリッド(p)、ジューエル・フィッシュ(p)
  • ペルマトクロミス・クリベンシス、テキサス・シクリッド(テキサスに生息するので18~20度で十分と説明)、オレンジ・クロマイド、エキデンス・クルヴィセプス、ブルー・アカラ、アピストグラマ・ラミレツィ(この他にアガシツィ、ペルテンシス、U2、当時はsppではなくよくUナンバーを使いました。)
  • エンゼル・フィッシュ(p)、エジプシャン・マウスブリーダー、モザンビク・ティラピア(ティラピア・スパルマニィはマウスブリーダーではありませんと説明)、ティラピア・マクロセファラ、ディスカス

 第7章 メダカ科

  • アプロケイラス・リニアタス、アプロケイラス・パンカックス、エピプラティス・チャペリィ、ブルー・フィン(Chriopeops goodei)、キュバニクティス・キュベンシス(Cubanichthys cubensis)、フラグ・フィッシュ
  • リブルス・シリンドラシゥス、リブルス・ストリガータス、ライアテイル(p)、アフィオセミオン・カリュラム、アフィオセミオン・ビヴィタータム(p)
  • アフィオセミオン・スプレンドプリュリス、ブルー・グラリス、アフィオセミオン・シャステッディ(種名はスエーデン人のシャステッド氏に因んだ)、ノトブランキウス・ラコヴィ、テロレビアス・ペルエンシス、アルゼンチン・パール(p)

 第8章 胎生メダカ科

  • グッピー(p)、プラティ(ブルー、ゴールデン、ワグティル、タキシード、ヘルメット)、ヴァリアタス、ソードテイル(p、レッド、ゴールデン、ワグティル、タキシード、ヘルメット)
  • セイル・フィン・モーリー、モーリエニシア・スフェノプス(この他にヴェリフェラとラティプンクタータがいると説明)、リバティ・モーリー、ブラック・モーリー(p、主にラティピンナ系)

 第9章 その他の科

  • オーストラリアン・レインボ・フィッシュ(15度くらいまで飼うことが出来ると説明)、クイーンズランド・レインボ・フィッシュ、デルモゲニス、バディス・バディス、ポリセントラス・ションバルキイ、グラス・フィッシュ(p、水温5~7度まで耐えるって本当かな)
  • バンブル・ビー・フィッシュ、モグルンダ・モグルンダ、マーブル・ゴビー、スキャット(3種あると書いてある)、モノダクティラス、アーチャー・フィッシュ(イラスト有り)、ブロー・フィッシュ

これで「熱帯魚の飼い方」は終わりです。

2008年5月 1日 (木)

「熱帯魚の飼い方」その5

 第3章 鯉科

  •  形が鯉、ハヤに似ているので、「熱帯魚にエキゾチズムを求める人には、ちょっと物足りないかもしれないと」と述べています。
  •  以下名前の後の(p)は白黒写真有りのこと
  • ゼブラ・ダニオ(p、属名のBrachydanioとは小さいダニオの意)、スポッテッド・ダニオ、パール・ダニオ、ジャイアント・ダニオ(属名のDanioとは現地名のダニーから)、チェリー・バルブ、クラウン・バルブ、ポスト・フィッシュ

    バーバス・ファシアタス、バーバス・オリゴレピス(種名のoligolepisとは鱗が少ないの意)、ロージー・バーブ、バーバス・カミンギィ、バーバス・ゲリウス(当時すでにいた)、スマトラ(p)、バーバス・パーティ・ペンタゾーナ(p)、バーバス・ヘキサゾーナ

    ブラック・ルビー、バーバス・セミファシオラータス、ゴールデン・バーブ、バーバス・ティクト、ドワーフ・バーブ(Barbus phutunio どんな魚?)、ラスボラ・ドーシオセラータ、ラスボラ・マクラータ、ラスボラ・ヘテロモルファ、ラスボラ・アイントホーヴェニィ、ラスボラ・パウシパーフォレータ、ラスボラ・ティニアータ、ラスボラ・エレガンス

    シザース・テイル、フライング・バーブ(Esomus)、エソーマス・マエウィエンシス(フライング・バーブに似た種でこちらの方が多いといってます。)、ホワイト・クラウド・マウンテン(属名Tanichthysとは発見者のタンと言う中国の少年の名から)

    ガーネット(Aphyocyprinus sp わかりません)、オステオケイラス・ヴィタータス、エパルツェオリンカス・カロプテラス(p フライングフォックスの事)、ブラック・シャーク

 第4章 ドジョー・バマズ科

  •  ドジョー科はヒゲが3~6対、ナマズ科は1~4対ある。

    • クラウン・ローチ、ブラック・バンデット・バック・ボーシャ(p horae)、クーリー・ローチ、グラス・キャットフィッシュ、電気ナマズ、バンジョー・キャットフィッシュ、カリクティス

      コリドラス・パレアタス、コリドラス・イニウス(エネウスの事)、コリドラス・アークアタス、コリドラス・ラボーティ、コリドラス・ハスタータス、プレコストーマス類(獰猛と解説されている)、ロリカリー類、ファロウエラ類、オトシンクラス類

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