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2008年5月28日 (水)

「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作,加藤邦三 アルス 昭和9年

 「熱帯魚と淡水魚」 雨宮育作,加藤邦三 アルス 昭和9年3月13日発行 80ページ 定価50銭 菊半截判(113*150) アルス科学写真叢書(※シリーズ名)

 この本は前回紹介した「原色図解 熱帯魚の飼育と鑑賞」(吉津良恭 著)と同じ出版社であるアルスより、同じ年に出版された本です。

 内容がスゴイのでこのシリーズの広告を上記本の末尾から紹介します。
 「ここに科学と技術が渾然と融合する。最も精鋭なる写真技術の精力的参加によって茲に始めて日本自然界の生態学的把握が我々のものとなった。

 固より生物生態の撮影は至難中の至難である。だが今や俗悪ジャズ文化の暗流に自然が漸く我々より絶縁しようとし、又我が自然科学特に生物学が死せる標本の上に漸く行詰まろうとしている時、「自然の再認識」を近代日本人の最大債務なりと信ずる本社が、あらゆる努力あらゆる犠牲を投げ出してここに「アルス科学写真叢書」を計画し特に生態科学協会の諸氏に依嘱して日本生物界の生態写真化に着手した。

 而して今その第一矢は放たれた。見よ!生態写真の精華!而して自然国日本の総合的写真辞典!ここに展観される世界は、動物に、植物に宏近にして微妙なる大自然相の生気躍動する赤裸の姿だ。

 敢えて全写真家諸氏にすすむ。山野の伴侶として、趣味の友として、自然の教師として、更に生態写真の教科書として、本叢書を常に身近に備えられんことを切望します。」

高級アートペーパー使用とまで書いています。

さらに「熱帯魚と淡水魚」の広告として
 「近来流行界の花形である艶美なる熱帯魚と清冽に踊る淡水魚。至難とさるる水中生態写真と斯界の権威雨宮博士の解説よりなる得難き参考書」

閑話休題
 著者の雨宮育作氏は魚類学で有名な東京帝大教授で農学博士ですが、共著の加藤邦三氏は写真家です。写真の右下に(K.Kato Photo)と書いてるのでわかっただけです。

 アルスは同年に何故2冊の熱帯魚本を出版したのでしょうか。この年、鷹司信敬氏も別の出版社から熱帯魚飼育本を出しているのをみると、熱帯魚ブームだったのかもしれません。しかしブームと言えどそれは一般庶民とはかけ離れた所にあったことでしょう。

構成

内容 ※目次のことです。
序文 ※敢えて序文とは書いてありません
口絵 生態及び水中写真 ※これが本文(ほんもん)と言っても良いでしょう。
本文 写真の解説
奥付

-----メモ-----
截=セツ、た・つ、き・る 斯=シ、こ・の、か・く 叢書=そうしょ 茲に=ここに 而して=しか・して
西暦1934年=昭和9年

関連書

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