「熱帯魚の飼育と鑑賞」 吉津良恭 その13
第7章 魚類病害のページ
- 第1節 塩水療法
塩茶匙1杯に清水5リットル(茶匙1杯は30g)または海水5に清水1の割合。塩は食塩ではなく岩塩を用いる。この濃度の塩水に1回に2~3分浸すことを根気よく連浴させる。
もしかかる取扱に対しても病魚の状態が捗々しくなければ、塩茶匙5杯に清水5リットル以上の濃度とし2~3日間之に浴せしめ、茶匙1杯に戻す。
- 第2節 アンモニア療法
この方は欧州にて白点病の治療薬として評判である。清水5に薬用アンモニア水を10~12滴溶かし、5分間浸した後清水に戻す。
- 第3節 赤インキ療法
赤インキを浅い容器に入れ適宜水を希釈する。この加減は少し赤みを認める程度の溶液でいい。手軽なので初心者の治療法として一般的である。
- 第4節 病害に対する一般的注意
個々の疾病と治療法 ※ 以下はどうも洋書からの受け売りのようです。
フィン・コンゲッション Fin Congestion ※鰭腐れ病
犯された部分を石油に浸すことで、頭部は軽く湿気のある布に包んで治療する。(※すごい荒療治で今では知っている人もいないでしょう。)
又、清水5リットルに過満俺酸塩(※過マンガン酸塩)を2粒の水溶液に浴せしめる手当てもある。
ホワイト・ファンガス White Fungus ※綿かぶり病
羅病魚を板の上に載せて、鋭い洋刀で被害部を切り落とす方で、決して鋏で剪ってはいけない。(※これも相当すごい治療です。)同時に切り口を過マンガン酸塩水(コップ1杯量に1粒)を患部に塗布し消毒する。
或いは湿った脱脂綿で頭部を包み、被害部を3~4分間乾かすことも一部の愛好家間で試みられている。
便秘 コンスティペーション Constipation
水5リットルに塩15gと砂利塩15gを混入した溶液に水浴せしめる。
イッチ Itch ※白点病のことか?
羅病魚はタンクの固定物に体を擦りつける様子を知ればその兆候と認めて差し支えない。塩水療法を再三繰り返すことで退治できる。
浮嚢病 Swimming Bladder Trouble
体の平衡を害される結果仰向けになるとか、横倒しの姿勢を取ることによって見分けられる。水温の低下が主な原因として挙げられる。
患魚は淡い且つ温かい塩水中に入れるが、快復の兆候を認めれば適温のタンクに入れる。
テール・ロット Tail-rot 尾腐れ病
治療はホワイト・ファンガスと同一で差し支えない。軽度では過酸化水素水の10%液に浴せしめるか、重症には同じく50%液に患部を浸すが、泡で包まれる。2~3回の施術で治癒する。
ドロップシー Dropsy 立鱗病、鱗立病、松かさ病
ジギタリス液の2~3滴をタンクに投入する手当が有効のごとく信じられているが、適療法とは言い難い。
コンスンプション Consumption
水5リットルに塩15gの溶液中で飼うのが比較的有効とされている。尚ウイスキーの5倍希釈液を1日2回、4~5日間服用せしめることは卓効ある治療法と見なされている。
アイ・インフラメーション Eye Inflammation ※ポップアイ
硼酸飽和溶液で患部を洗浄、或いは硼酸の代わりにグリセリン90%に沃度丁幾(※ヨードチンキ)10%の割合の調剤薬で点眼するのであるが、この際は1回の試用で足りる。
ギル・コンゲッション Gill Congestion
鰓に起こる障害で、幼魚と成魚で症状が異なる。羅病後殆ど絶望伝染性強く、治療至難な病気となっている。成魚の場合は水5リットルに塩30gの溶液に浸す。この濃度では魚は多少苦痛を訴えるから掬いだし、流れ水に当てる。数日之を反復する。
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